社長が資料作成に時間を使うのをやめる方法|AIで「調べる・まとめる・たたき台を作る」を減らす

経営者の仕事は、資料を作ることではありません。
事業の方向性を考え、重要な意思決定を行い、顧客や社員と向き合うことです。
ところが実際には、提案書、社内説明資料、会議の準備、業界調査など、毎日の資料作成に多くの時間を使っている社長も少なくありません。
しかも、資料作成は意外と手間がかかります。
必要な情報を調べ、整理し、構成を考え、文章を作り、数字を確認する。資料を一つ完成させるだけでも、いくつもの作業が発生します。
そこで考えたいのが、AIに任せられる仕事を切り離すことです。
すべてをAIに任せる必要はありません。
社長がやらなくてもよい仕事だけをAIに任せる。それだけでも、時間の使い方は変わってきます。
1.資料作成のすべてを社長が行う必要はありません
例えば、取引先への提案資料を作る場合を考えてみましょう。
一般的には、次のような作業が発生します。
- 必要な情報を調べる
- 過去の資料や社内情報を整理する
- 提案の構成を考える
- 文章のたたき台を作る
- 数字や根拠を確認する
- 最終的な提案内容を判断する
このうち、情報の整理や文章の初稿作成などは、AIが得意とする仕事です。
一方で、取引先との関係性や提案の優先順位、価格交渉、最終的な経営判断まで、AIに丸投げするべきではありません。
AIには作業を任せ、社長は判断に集中する。
これが、ヨリョクの基本的な考え方です。
2.AIに任せたい3つの仕事
① 調べる
業界動向、競合企業、商品・サービスの特徴などを調べる際、AIを活用すると調査の出発点を素早く作れます。
例えば、次のように指示してみてください。
従業員30人の中小企業が営業管理システムを導入する際に、比較すべき項目を10個挙げてください。費用、運用負担、導入期間、既存システムとの連携を重視してください。
このように指示するだけでも、何を調べればよいのかが整理されます。
最初から自分で調査項目を考える必要がなくなるわけです。
ただし、AIが示した料金や制度、統計などが必ず正しいとは限りません。重要な情報は公式サイトや公的資料などで確認しましょう。
② まとめる
長い議事録や報告書、取引先から送られてきた資料を読む仕事も、意外と時間を使います。
こうした情報の整理にもAIが役立ちます。
例えば、次のように指示します。
この議事録を、決定事項・未決事項・担当者・期限・次回までの課題に分けて整理してください。
これだけでも、何が決まり、何が残っているのかを把握しやすくなります。
特に会議の多い経営者にとっては、資料を読む時間を減らす一つの方法になります。
ただし、機密情報や個人情報をAIに入力する場合は注意が必要です。利用するサービスのデータ取り扱い条件や社内ルールを確認したうえで活用しましょう。
③ たたき台を作る
最も取り入れやすいのが、資料のたたき台をAIに作ってもらうことです。
例えば、次のように指示します。
従業員20人の会社で、新しい勤怠管理システムを導入するための社内説明資料を作成してください。背景、現在の問題、導入目的、費用、期待効果、導入スケジュールの6項目で構成してください。
こうすれば、資料の基本構成や説明文の初稿を作れます。
もちろん、そのまま使えるとは限りません。
しかし、ゼロから考えるよりも、すでにある構成案を修正する方が効率的な場合があります。
最初から完成品を求めるのではなく、まず70点のたたき台を作り、重要な部分だけ自分で仕上げる。
この考え方が大切です。
3.資料作成を減らす4つのステップ
では、実際にどうすれば資料作成の時間を減らせるのでしょうか。
ヨリョクでは、次の4つのステップをおすすめします。
STEP 1:繰り返している資料を洗い出す
まず、毎週・毎月作成している資料を確認しましょう。
営業会議の資料、週次報告、提案書、採用資料など、同じような資料を何度も作っていませんか。
最初に取り組むべきなのは、繰り返し発生している資料です。
STEP 2:資料の型を決める
次に、資料の基本構成を決めます。
目的、対象読者、必要な項目、文字量、判断してほしい内容などをテンプレート化します。
毎回ゼロから構成を考える必要がなくなります。
STEP 3:AIに初稿を作らせる
テンプレートができたら、AIに初稿を作らせます。
前回の資料や必要な情報を、適切な情報管理のもとでAIに渡し、たたき台を作成します。
その内容を確認しながら、必要な部分だけ修正していきます。
STEP 4:社長は重要な判断だけを行う
最後に、社長が確認すべき部分を絞ります。
文章の細かな調整ではなく、提案内容の妥当性、数字、意思決定に必要な論点などを確認します。
この流れを仕組みにできれば、資料作成を個人の頑張りだけに頼らずに済むようになります。
4.どのAIツールを使えばよいのでしょうか
AIツールにはさまざまな種類がありますが、最初からいくつも契約する必要はありません。
代表的な選択肢として、次のようなサービスがあります。
| サービス | 主な活用場面 |
|---|---|
| ChatGPT | 調査項目の整理、文章作成、資料構成、要約 |
| Claude | 長文資料の整理、文章の推敲、構成の検討 |
| Gemini | 情報整理、文章作成、Google系サービスを利用する業務 |
| Microsoft Copilot | Microsoft 365環境での文書作成や会議・業務支援 |
利用できる機能や連携範囲は、契約プランや設定によって異なります。
ここで重要なのは、「どのAIが一番優れているか」を議論することではありません。
今、社長の時間を奪っている仕事を一つ減らせるかどうか。
まずは、その視点で選んでみてください。
5.AIを使う際に注意したいこと
AIは便利ですが、万能ではありません。
見た目の整った文章を作ることは得意でも、その内容が正しいとは限りません。
特に、次のような情報は人が確認する必要があります。
- 売上、利益、投資額などの数字
- 法律、税制、補助金などの制度情報
- 顧客名、契約条件、取引先情報
- 統計データや引用元
- 社外に公開する重要な説明内容
また、AIの導入そのものが目的にならないように注意しましょう。
新しいツールの使い方を覚えるために何時間も費やしてしまっては、本末転倒です。
まずは、毎週繰り返している仕事を一つ減らすことから始めましょう。
6.まずは一つの業務から始めてみましょう
例えば、毎週2時間かけて作成している資料があるとします。
AIとテンプレートを活用して、その仕事が1時間で終わるようになれば、毎週1時間の余力が生まれます。
年間48週で考えれば、48時間です。
もちろん、これは説明のための仮定です。実際の削減時間は、業務の内容によって異なります。
ここで一つ、考えていただきたいことがあります。
その48時間を、何に使いますか。
別の雑務を詰め込んでしまえば、結局、忙しさは変わりません。
顧客に会う。新しい事業を考える。社員と話す。経営数字を見直す。
あるいは、少し休む時間に使ってもよいでしょう。
大切なのは、AIによって生まれた時間を、社長自身が本当に使いたいことに振り向けることです。
社長の仕事をAIに奪わせるのではありません。社長が本来やるべき仕事のために、AIを使うのです。
ヨリョクから
ヨリョクでは、AI、クラウドサービス、外注、コスト削減などを通じて、中小企業の経営者が時間と利益の余力をつくる方法を紹介しています。
最初から大きな投資をする必要はありません。
まずは、今週繰り返している資料作成を一つ選び、その一部分をAIに任せることから始めてみませんか。
時間の余力をつくる。利益の余力をつくる。その余力を、未来に使う。
執筆:神永 将行
経営コンサルタント。中小企業の経営支援や新規事業開発などに携わる。ヨリョクでは、経営者の時間と利益に余力をつくるための実践的な方法を紹介しています。
